ご挨拶

「今日の非常識は明日の常識」と言う言葉がありますが、下の写真中、農薬を一切使用していないのが左の水田で、農薬を使った慣行栽培の水田が右の方です。
当組合に参加した各農家は、低コスト・高収量・高品質かつ安全で安心な『循環型農業』を永年に渡り実践して参りました。
その方法は、畜糞尿や有機性汚泥を極短時間で消臭・発酵させ肥料成分(ATP)を多量に残存させた堆肥やボカシ肥を用いることで、『良い土づくり』を慣行栽培の指導基準よりも遥かに安価に行うことで実現して参りました。

比較画像
正面向かって左側が循環農法の田、右側が慣行の田

この度、私達は、『久留米藍草生産者協同組合(令和3年12月:法人成立)』を設立致しました。
始まりは、令和2年に、『藍草』の試験栽培を中山間地に在る30坪の耕作放棄地で行ったことからでした。
翌、令和3年に『藍草』は特にたくさんの肥料を要求する農作物であることを、5枚 (約1,200坪)の農地で確認しました。それは当組合の各農家が実践してきた私達の農法との相性が大変良かったという事実でした。
そして更に、この農薬不使用・無化学肥料栽培の『藍草』から作った『藍の染料※』は、当地の伝統工芸品作家である久留米絣の織元さんによって、無事染まることも確認できました。
以上の、この二つの大きな成果に基づき、5軒の参加農家と共に、組合設立に至りました。

日本における 『藍』 の染料は、日本特有の 『タデ藍』 と呼ばれる藍草を栽培し収穫後に乾燥、その後茎を取り除き、葉のみを選別し発酵させて作ります。江戸時代より、藍染が広く普及し、人々が藍で染められた着物を揃って着ていたところから、日本を訪れた外国人が付けた名称 『ジャパンブルー』 は、令和3年に開催された東京オリンピックのシンボルロゴマークの色に使われたのは、記憶に新しい処です。

ここ久留米には、1800年頃に独特の織物が発明され、以後約200年以上続き、重要無形文化財、伝統工芸品に指定されている『久留米絣』が在ります。
当組合の最初の目的は、この『久留米絣』に欠かせない天然染料を創ることです。繰り返しになりますが令和3年は、組合員農家併せて約40aの『藍草』を栽培し、前述の『久留米藍(すくも)』を試行錯誤の末、工業的に大量生産する方法と方策が見つかりました。
 令和4年からは、本格的に『藍草』の栽培を行い、『久留米藍(すくも)』の生産を行って参ります。冒頭にも申しました農業の新しい技術を用いて未来につながる新しい産業に挑戦して行く所存です。
皆さまの温かい、ご支援・御協力を、お待ち申し上げると共に、『久留米藍草生産者協同組合』と、その成果物 『久留米藍(すくも)』 を何卒、よろしくお願い申し上げます。

※藍の染料…試作品で久留米藍(すくも)と分けるために、藍の染料と記載しております。